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June 2006 Archives

Ryoji Ikeda C4I + datamatics [prototype]

posted: June 8, 2006

珍しく自分の事でない日記を。
相変わらずmixiの日記に対するユーザーの構え方っていうのは人それぞれですが、人それぞれな割に頻繁に話題に上がりますねー。…それとも逆?
そんな事なんか忘れてしまうような(といってもこの話は公演後ですが)事を体験してきました。一日公演なのでネタばれ的なものを気にせず書きます。
今日は国際フォーラムCホールに、
Ryoji Ikeda C4I + datamatics [prototype]
を見に行ってきました。4年振り東京公演。
プレスに間に合わず(北京で知ったもので、。)高いチケット買って見させてもらったのでここでがっつり書かせてもらいます。といっても僕の場合、作品の本心には突っ込まないで構成や技術的な視点(しかも映像のみ)でしか書かないので、そういった事は他の沢山の人の日記を見ていただければ。自分にとってのメモ代わりにHDDに保存。でももしかしたらどっかに載せるかも。事後の進行は青木さんの音をつけたダンス公演以来の事で、しかもここに書いたらなんか無理な気もしますが、。そんな悩んじゃう位の長い文章ですので覚悟してくださいね。

ryoji_ikeda2.jpgryoji_ikeda2.jpg

第1部、2004年にYCAMで制作の「C4I」(リンクで写真が見れます)

:まえがき
やっぱり映像を優先してできるだけ前の席を選らんだ訳ですが、数えるのにギリギリ両手つかう必要のある列から見てもなんだか眠い画質。どうやらピントが狂っていたそうで。。。休憩中に修正。デジタルでしか修正できない仕様なのか、上映中に映像に手を加えることを禁止していたのか、定かではありませんが。それと、サイズも上記写真のような16:9で制作、とFADERか何かで読んだ記憶があるのですが、投影されていたのはどちらも4:3な感じで。その辺理由知ってる人教えてください。後、構成の順番すべて覚えられるわけがないので、順番はふりません。

:タイトルだし
最高です。webテイストな黒バック白文字のシンプルなアニメーション。進行と共に短いサイン波。webボタンの効果音の基本ですよね。でも作り手も音響もいいのでそれだけでかなりぐっときます。

:本+鉛筆のシーン
本をめくるのってダムタイプ時代にもmemorandomか何かで登場したモチーフな気がしますが。あふれ出す「データ」の象徴的存在ですね。鉛筆の音がまたありえないくらい耳にきます。このあたりで遠くの方で気分悪くなって席を立つ人もいたり。最後にも登場してうまく閉めてくれます。

:世界地図
平川紀道さんじゃないけど世界地図ってやっぱりいいモチーフですね。幾何学模様&モアレくらい使い尽くされてるものだろうけど、いつ見ても見れちゃいます。

:ロケした映像
おそらく本人が撮ったと思われる実写映像は、本人が収録時の音を使うかどうか悩んだという(これもサンレコか何かで読んだ)砂漠や海、地平線の見えるそんな場所。
基本ですが360゜位パンする映像があるんですが、速度が一定じゃない。。足場?それとも機材のせい?僕でさえ三脚だけで180°~270°はいけます。速度にもよりますが多分、。ピントの件と併せてその辺だけ残念。まぁ池田さんのせいじゃないのもありますが。。
実写の中にも映像内のオブジェをトレースしたシンプルな線画が時々。

:英数字
これ沢山出てきました。最初のタイトルから終盤の盛り上がるところまで。やっぱり一番「データ」らしいモチーフですよね。車は2分間に一回人を殺している、とか、エイズの話なんかの世の中の事柄から、ひたすら数字だけで構成されたシーンも。その数字だけのシーンくらいから3次元な動きになるんですが、ゆっくりとした動きのなかで数字が高速で動いていって、白黒の背景の具合が変わっていくという。

:実写映像をトレースした3D
これを見たときにやっと前半のもったいぶらせていた理由がわかりまして。英数字のアニメーションの間に、前半に出てきた実写映像が再登場。その際に今度は3Dでトレースした山とか、森を走る車からのアングルとか、トンネルとかのワイヤーフレーム描画の映像がフェードで入ってきます。

:貴重な映像
これだけだとなんか変ですが、NASAや科学研究所的なところから借りた、スペースシャトル内の機器の映像とか、探知系の機器の映像とかが登場。さすがに出どこがすごいだけにそれにシンプルな線が移動するようなアニメーションを加えただけでもかなりの大迫力。音を使った盛り上げ方も当然うまいので最高潮のうちにフィニッシュ。

全体的にストーリーがしっかりと作られていて、音とのシンクロも全体的に盛りだくさんな「C4I」でした。

第2部、datamatics [prototype]

ryoji_ikeda3.jpg
いきなりタイトル出しも早々に最初のシーンへ。

:様々な形の線画のアニメーション
上下にゆれながら濃さが変わって(もちろんモノトーン)速度の変化と共に目の錯覚を利用した感じ。白黒と明滅反転。長いのもあれば短いのもあれば、幅広いのもあれば狭いのもあれば。1ピクセルももちろん。第1部と比べると音と映像のシンクロ率が下がってますが、あまりシンクロしすぎるのもあれなので問題なし。線画のアニメーションもグレードアップしてました。

:バーコードのような線画+英数字
今度は動きが左右に変わるわけですが、これがやばかった。2Dでここまで刺激的だったのは久しぶり。音とのシンクロ率が増して、音もライブしてる具合に盛り上がってきて。静+動のギャップの使い方がうまくて、さすがとしか言えないです。もっとスポットを当てたいです、松川さん、角田さん、徳山さんに。

:点画から線画、良くある3Dの環境へ
ここに来て良く見る(Jitterでよく作る)ものが出てきたので、すごくわくわく。真っ黒な空間に中央から次第に点が生まれてくる。始終カメラは回転。上方からスキャンラインのようなグリッド、点の集合が下降。それと共に先ほど生まれた点のひとつにフォーカスしてその点に関する情報を表示。その後次の点へ。これを何回か繰り返しつつ、カメラが見下ろす形から見上げる形へ。注視点はずっと中心のまま。スキャンの速度の上昇と共に表示される情報も増え、加算のレイヤーの文字達は重なり合い真っ白になっていく。

:グリッドの空間
灰色のグリッド+点がすごい速さで生まれ、すぐに立方体を形成。そこにカメラが突っ込んでいってここで初めて注視点も変化。カメラのアングルによって見せる表情が変わるその立方体は、既に重低音ノイズと化した音と共に伸縮を繰り返し(この辺もJitter使いは最初よく見ます)、カットアウトでフィニッシュ。終わり方は「C4I」の方が良かったかなと、もちろんもっと見たかったからというのも理由のひとつですが。

第1部「C4I」が上映会、第2部「datamatics」がコンサートな感じでした。それぞれ1つの作品なのでこの呼び方はあれですが。。2つを一度に体験できたのはかなり嬉しいです。この順番で見れたのも効果的です。日本人でよかった笑
ともかく、カンバセーションをはじめ関係者の方、お疲れ様でした。イベント制作的な視点で書きたい事もちょっとありますが、そんなことを言ったらきりもないのでこの辺で終了。

そして最後まで読んでくださった方、お付き合いありがとうございました。